第12章 現実世界。
それからしばらく、
樋渡さんは恋愛についての質問をいくつかしてきた。
気を使ってくれているのだろうか?
樋渡さんは思ったより話しやすくて、
優月さんや蘭丸さんの言うほど
怖い人物には思えなかった。
歩んだ先にあった光の根源は
ドアの隙間の小さな光だった。
樋渡さんがドアを開けると、
そこは本に囲まれた子供部屋のようなところだった。
「ここが僕の部屋だ。さぁ、入ってくれ。ここに座って。」
私は樋渡さんに促されるまま
椅子に腰掛けた。
樋渡さんはニコニコとし、私の目の前の椅子へと腰掛けた。
「部屋に誰か他人を招いたのは君が初めてだ。人間は部屋に誰かを招いた時に何か特別な事をするのかい?」
「…え?うーん…お茶とかお菓子とか…出しますかね?」
私がそう尋ねると、
樋渡さんは勢いよく立ち上がり、
勢いよく部屋から出て行った。
「…あ…。」
私は一人残された部屋をぐるりと見渡した。
本はなにやら難しそうな本ばかりだった。