第10章 OLDEN DAYS
見慣れた薄い金髪に
かすかに震える小さな背中。
「こ・・・う…?」
俺はその背中を見上げる。
「優月だけは・・・優月だけは…俺が守る!!!」
声が緊張からか裏返ったその声に
はっとなる。
「光くん…君は相変わらず優月くんの事が大好きだね…。僕は今悩んでいるんだよ。君か優月くんか・・・」
マスターは光の目の前で立ち止まった。
「お、お前は何モノな、なんだよ!!!」
震えた声で詰まりながら光が
マスターに問う。
「僕かい?僕自身に名前はない。ただ、この器の名前は石田幸蔵。このゲームの開発チームの一員だった男さ。」
そう言ってマスターはくるっと回った。
「でもね、この老いぼれの器はもう開発チームからはずされてしまったのでね。もはや価値がないのだよ。だから、新しい器がほしくなってしまったのさ。」
そう言って、マスターは光の顔を掴み、
顔を近づけた。
「・・・!!!!」
「美しい。そのキレイな目。その美しい髪。でも…」
マスターは光を避けると、
俺に近づき、俺の顔を掴んだ。
「こちらもまた、美しい…。どちらが良いか…。」
マスターは俺を離すと、
考え込んだ。
「おい、リーダー。さっさしねぇと召集時間になるぞ。」
目つきの悪い女が後ろから叫ぶ。
「そうか…。うーむ…。エリはどちらが僕に合うと思う?」
マスターが女に尋ねると、
女は『はぁ!?知るかよ!』と言って煙草を吸いはじめた。
「小太郎。お前はどちらが良いと思う?」
マスターはもう一人の男に聞いた。
「ふふ…そんなの…今の直感で選んで…飽きたらまた替えればいいでしょ・・・ふふ。」
男は何が面白いのか知らないが
笑いを堪えながら、そう言った。
マスターは嬉しそうにニヤっと笑った。