第10章 OLDEN DAYS
試合ははじまった。
なにやら様子がおかしかった。
「…おい、あれ…おかしくないか?」
俺は圭太の顔を見た。
「おかしい…なんで…血が流れてるんだよ…?」
圭太の顔も真っ青になっていた。
「ん?お、おい?なんだよ?」
光は眉間にシワをよせたまま俺たちを見上げた。
会場が叫び声に包まれ始めた。
一気に周りの奴が逃げ惑い始めた。
光はやっと見えた試合会場をじっと見つめた。
が、その惨状を見て、その表情は固まった。
「ううぉぇぇぇ…」
光は吐き出した。
血に染まる地面。
目の前に転がるのは人間の生首。
血だらけで命乞いをする人。
…それを容赦なく切り刻む
『ハコブネ』のメンバー。
このゲームでは血は流れない。
あきらかにおかしかった。
痛みだって感じない。
そのはずなのに、
そこに居る人間は痛いと喚き、
這いずり回って逃げ惑っている。
「お、おい、ログアウトするぞ。」
俺のその声と共に、
ギルドメンバー全員が
ログアウトをしようとした。
「お、おい、優月…ログアウトができねぇ!!!!」
圭太が青い顔をした。
「お、俺もだ!」
他のメンバー達も青い顔をした。
「…っ!!??」
全員が同じ状況に
陥っていた。
「とりあえず、に、逃げるぞ!!!!!」
そうして、俺たちは走りはじめた。
後ろから
怪しげな笑い声が聞こえた。
振り向いちゃいけない。
そう分かっていた。
なのに、身体が勝手に
振り向いてしまった。
そこには…
「やぁ、優月くん。ここでは…はじめましてだね?」
「…ますたー…?」
身体が固まった。