第10章 OLDEN DAYS
「おい、優月!俺、プリーストとして少しは強くなった気がするんだ!」
ある日、光はそんな事を言った。
「あ?前線に飛び出していくアホなプリーストがか?」
俺が鼻で笑うと、
光はいつものように顔を真っ赤にして怒った。
「うっせぇよ!だって、皆が怪我してんのに自分だけ無傷ってかっこ悪いだろ!それに…」
「…?」
「俺が前線に飛び出しても、優月が守ってくれんじゃん。」
光はニヤっと笑った。
…。
…。
いつだって
憎めなくて、かわいい奴だった。
光がギルドに入ってから1年が過ぎた。
光はすっかりプリーストとして完成した。
相変わらず前線には飛び出てくるが、
回復魔法だって完璧だし、
すぐにドジを踏むような真似はしなくなった。
「お前らいいコンビだな。」
圭太達からもそういわれるようにまでなっていた。
いつしかゲーム内でも、
黒雷の剣士と聖剣士と呼ばれるようになっていた。
何故あいつが聖『剣士』なのかはわからないが、
光本人はお気に召していた様子だった。
もう誰にも止められないんじゃないかってぐらい
俺たちのギルドは波に乗っていた。
でも、そんなある日、
あのゲームの世界で…
異変は起こった。
今日は珍しいギルドがギルド戦をするという事で
俺たちは試合を観戦する事にした。
『ハコブネ』
昔からある巨大ギルドだが…
今までは全く戦闘はしていなかった。
そんなギルドが今日に限って
突然ギルド戦に参加したのだ。
会場はその戦いを見に来た奴で
溢れかえっていた。
「ぜんっぜん見えねぇ。」
光は身長が小さいからか、
ずっとジャンプを繰り返していた。