第9章 狂った世界。
「そんなっ!」
私は、すぐに律さんの手を握り返した。
「ねぇ、雛ちゃん。私ね、"シラン"って言う花の花言葉が大好きなのっ!」
「"シラン"…ですか?」
「そう!蘭の種類の花らしいんだけどね♪写真でしか見たことないけど、紫色できれいな花だった!漢字で書くと紫の蘭で紫蘭なの♪」
そう言って律さんは立ち上がった。
「へぇー。キレイそうですね!花言葉はなんですか?」
私がそう聞くと、
律さんは静かに笑った。
『あなたを忘れない。』
なんだかその花言葉が儚げで、
私は思わずうつむいた。
「あとね、もう一個あって、"美しい姿"って言う花言葉もあるの♪」
「美しい姿?」
「そう!私はあの花のように…美しくありたい…なーんて!乙女な事言ってみた!ふふっ!女友達出来たの久々で嬉しくなっちゃった♪」
そう言って律さんはクルクルと周りだした。
「私も律さんがお友達ですごく嬉しいです!」
「もしさ、私が現実世界で起きたらさ…」
「・・・?」
「一緒に買い物とかしてぇ…一緒にクレープ食べて…一緒に好きな人の話とか…してくれる?」
律さんは寂しげに笑った。
その表情に胸が苦しくなった。
「はい!!!絶対にします!だから、律さん絶対に起きてくださいね!」
「わかった!よ~っし!約束ね!」
そう言って律さんは小さな小指を私に突き出した。
私は、その小さな小指に
自分の小指を絡ませた。
「ゆびきーりげーんまんっ!」
私たちは約束を交わした。
しばらくすると、
蘭丸さんと優月さんと陽くんが部屋にやってきた。