第9章 狂った世界。
帰り道、蘭丸さんは終始うつむいていた。
「ショックだったか?」
「少しだけ。」
「だよな。ゲームではあんなに元気だもんな。」
蘭丸さんは溜息をついた。
「律さんは何の病気なんですか?」
「さぁな。俺も詳しい事はわかんねぇ。でも、前まではあんな状態じゃなかったんだ。」
蘭丸さんは立ち止まった。
「前まで普通に生活してた。でも突然病気が悪化したらしくて彼女は植物人間状態になってるんだ。」
蘭丸さんは煙草に火をつけた。
「俺はさ、あのゲームみたいな狂った世界は大嫌いだ。けど…」
「…?」
蘭丸さんは煙をふぅーっと吐き出した。
「けど、あそこにはりっちゃんの居場所があるんだ。だから、俺はあそこを守りたい。そして、りっちゃんを守りたいんだ。それがあそこでの俺の生きる理由だ。」
既に空は茜色に染まりつつあった。
そこで見た蘭丸さんは
なんだか、強くて、かっこよくて…
私は思わず息を飲んだ。
「なぁ、雛っぴ。これから危険もたくさんある。けど…協力してくれるか?」
「はい。」
私は頷けずにはいれなかった。
「ありがとな。」
そう言って蘭丸さんは私の私の頭を乱暴に撫でた。
その後、私と蘭丸さんは連絡先を交換した。
そして、別れた。