第9章 狂った世界。
それから蘭丸さんは
律さんに昨日あった出来事や、
今日あった出来事を嬉しそうに話していた。
私も、たまに相槌をうったり、
少しだけ会話に参加した。
しばらくするとドアが開いた。
「あら!今日も来てくれたの?」
少しやつれたおばさんが入ってきた。
「おう!当然だ!俺はりっちゃんの友達だからな!」
蘭丸さんは嬉しそうにそう言った。
「あら~。きっと律も喜ぶわぁ♪…あら?彼女は?」
おばさんは私の方をじっと見つめた。
「あ、り、律さんの友達の桐谷雛です!」
そう言って私は頭を下げた。
「あら!律にも女友達が居たのね!お母さん嬉しいわぁ。」
おばさんは律さんの頭を優しく撫でた。
「あー!雛っぴぃ!名前名乗っちゃダメだよぉ!」
蘭丸さんは口を尖らせた。
「へ?」
私はポカーンとした。
「あら、もうヤダ!カーくんね、私にいじわるするのよ!」
そう言っておばさんは笑った。
「いじわるじゃねぇーよ。願掛けだよ。りっちゃんが起きたら、俺の名前はりっちゃんに聞けって。だから、俺の名前はおばさんには教えねぇんだ。」
蘭丸さんはニカっと笑った。
「…そうだったんですね。」
私もつられて笑った。
そうして、3人で少し話したあと、
私と蘭丸さんは病室を後にした。