第3章 第三章
「そうですね・・・・・・」
宿主さんが心配そうにおろおろした。
「きっと戻って来られますよ。ただ、昨夜、店の前で人斬りがあったばかりですからね・・・・・・。あなたまで斬られたと思って驚いたけど、これ、返り血だったんですね」
返り血・・・・・・。
そうだ・・・・・・宗次郎・・・・・・人を・・・・・・たくさん殺したんだ・・・・・・。
「私・・・・・・どうなっていたのですか?」
私は宿主さんに訊く。
「玄関で倒れていました。どういう成り行きかは解りませんが・・・・・・。今、警察の人に来てもらってます」
そう言えば外かどこかで大勢の男性の話し声がする。
警察・・・・・・。
どうしよう・・・・・・宗次郎捕まっちゃうのかな・・・・・・。
それより!!宗次郎が・・・・・・宗次郎が・・・・・・!!
「宗次郎・・・・・・死んじゃったかもしれない・・・・・・!!」
私は手を顔に当て号泣した。
「だっ大丈夫ですか!?」
「私は大丈夫です、でも宗次郎が――!!」
今すぐ宗次郎を探しに行きたい!!
私は身を起こそうとした。
でも起き上がれなかった。
「安静になさってください。連れのお方も人斬りに遭われたのですか!?斬られたというのですか!?」
「いえ、斬られてはいません。警察に……!!警察に藤宮医師の所に行ってもらってください!!お願いです!!お願いします!!」
私は泣いて宿主さんに頼んだ。
「宗次郎が殺されそうなんです・・・・・・!!」
宿主さんが困った顔をして私を見つめた。
「私達、藤宮医師に毒を盛られました・・・・・・私・・・・・・毒で・・・・・・動けない・・・・・・」
「本当に・・・・・・毒ですか?」
え・・・・・・。
宿主さん、信じてくれないの!?
「本当ですって!!」
「安静にしていればきっと大丈夫ですよ。毒ではないと思いますよ」
宿主さんが優しく私に話す。
信じてくれない――!!