第3章 第三章
「くっ・・・・・・」
私は玄関に向かって体を精一杯動かした。
這って玄関に向かう。
警察に――!!宗次郎を助けてって!!言うんだ!!
「お客さん」
「離して!!」
私は私を案じて押さえようとする宿主の手を振りほどいた。
「行かせて!!」
宿主は困惑の表情を浮かべながら私を見ていた。
宗次郎を取り戻す!!
まだ間に合う事を信じて――。
死なないで宗次郎!!
私は匍匐前進で一歩一歩前に進んだ。
部屋のふすまを開け、廊下に出る。
玄関がすぐそこに見える。
「警察の方々!!宗次郎を!!」
ここから叫んでみても外には聞こえないらしい。
早く・・・・・・宗次郎がっ・・・・・・!!
動け!!もっと速く!!
私は体を精一杯動かした。