第3章 第三章
一箇所で燃えていた炎が瞬く間に広がる。
診察室で薬の確認をしていた藤宮は焦げ臭い匂いと炎の明かりに、
「何事!?」
と診察室を急いで出た。
廊下に出たが炎がすぐそばまで猛っている。
そして目の前には宗次郎の姿。
「藤・・・・・・宮・・・・・・医師・・・・・・逃がしません・・・・・・よ・・・・・・お覚悟を」
宗次郎が苦しそうに肩で息をつぎながら震える手でゆっくり刀を振り上げる。
「お前は・・・・・・!!自ら来よったか!!飛んで火に入る夏の虫とはこの事だ!!」
藤宮は口元に笑みを浮かべて診察室へ足早に戻っていく。
「それは・・・・・・どうでしょう・・・・・・あなたこそこの業火から逃げる術はありませんよ」
宗次郎が弱々しく微笑んだ。
「道連れに・・・・・・します・・・・・・」
宗次郎がよろっよろっと診察室に入ると、藤宮はバッと薬品を宗次郎にぶちまけた。
「!!」
宗次郎が咄嗟に左手で塞ぐ。
しかし薬品が手にかかる。
「っあっ・・・・・・!!」
手にかかった薬品が宗次郎の左手を溶かしていく。
「あっ・・・・・・ぐ!!」
宗次郎が痛そうに左手を押さえる。
「塩酸だよ!!もう一丁!!」
藤宮が宗次郎に再び塩酸をぶちまける。
宗次郎が目を見開く。