第3章 第三章
急に体が痺れて麻痺して私の体は宗次郎に傾いた。
「っ・・・・・・」
宗次郎が血生臭い和服で私を咄嗟に支える。
「時音さん・・・・・・!?」
何・・・・・・これ・・・・・・。
頭がふらふらする・・・・・・。
体中の感覚が無くなって冷たくなって行く・・・・・・。
「時音さ・・・・・・。っ!!」
腕を掴んでいた宗次郎の手が緩む。
と同時に宗次郎が均衡を崩す。
地面に叩きつけられる衝撃。
「く・・・・・・そ・・・・・・あの医者・・・・・・!!」
宗次郎の呻き声が聞こえる。
私・・・・・・宗次郎も・・・・・・倒れているんだ・・・・・・。
どうして・・・・・・。
!!
まさか・・・・・・!!
毒!?
「時音さんっ・・・・・・!!」
麻痺しているけれど、腕を強く握ってくる宗次郎の感触が伝わってきた。
「僕の・・・・・・財布です」
顔を上げると宗次郎が私に財布を差し出してきた。
そして宗次郎は財布を倒れている私の傍の地面に置くと、よろよろと立ち上がった。
「そのお・・・・・・金で・・・・・・宿代とこれからの食事代・・・・・・を・・・・・・っ」
宗次郎・・・・・・!?
何を言っているの!?
「行って参りますっ・・・・・・」
宗次郎が弱々しく微笑んで私に背を向け、よろりと歩き出した。
「宗次郎・・・・・・っ!!」
私が呼んでも宗次郎は応えてくれない。
一歩一歩離れていく。
私から離れていく。
宗次郎!!
もしかして毒を盛った藤宮医師の所へ!?
「ダメッ!!宗次郎!!宗次郎!!」
私は泣き叫んだ。
立ち上がろうとするけど力が入らない。
嫌っ!!
宗次郎が!!死んじゃう!!
「宗次郎っ!!」
宗次郎が暗闇に溶けて見えなくなってしまった。
動け!!私!!
動け!!
・・・・・・ダメだっ!!体が麻痺していて動かない!!
っ・・・・・・。息が・・・・・・っ!!
息ができないっ・・・・・・!!
「か・・・・・・は・・・・・・っ」
息が・・・・・・!!
私・・・・・・死ぬの・・・・・・!?
数秒経って私の意識は暗闇に飲み込まれた。