第3章 第三章
「宗次郎、後ろ!!」
刹那、宗次郎が見た事の無い恐ろしい形相で後ろから襲いかかってきた剣客を斬った。
剣客は1人だけじゃなかったようで、30名程人影が見えた。
宗次郎が次々に人影を斬って血しぶきを浴びる。
30名程の剣客が瞬く間に死んでいった。
宗次・・・・・・郎が・・・・・・また・・・・・・殺生を・・・・・・。
どうして!?
どうして逆刃刀の方を使わないの!?
宗次郎の和服が返り血を浴びすぎて赤黒く染まり、和服から血がたくさん滴り落ちる。
宗次郎・・・・・・もしかして・・・・・・。
ここで・・・・・・敵を待ってたの!?
見張りをしていたの!?
「はぁっ・・・・・・はぁっ・・・・・・」
私に背を向けている宗次郎が肩で息をついで、息を荒げている。
宗次郎がバッと私の方を振り向いた。
「!!」
私は思わずビクッとしてしまった。
宗次郎が物凄く恐ろしい形相で私を睨んだ。
そして和服から血を滴らせながらツカツカと私の方へ歩み寄ってきた。
私は一歩後ずさった。
宗次郎の顔が目の前にあった。
いつの間に間合いを――!!
「時音さん!!一体どういう事ですか!!」
宗次郎が恐ろしい顔で私に怒鳴る。
「そ・・・・・・宗次郎・・・・・・その・・・・・・」
「僕から離れるおつもりだったんでしょう!?」
宗次郎が私を壁に押し付けて責める。
「ち・・・・・・違・・・・・・うっ」
宗次郎が私の左耳に顔を寄せる。
「!!きゃっ・・・・・・!!」
宗次郎が私の左耳を思いっきり噛んだ。
痛い・・・・・・っ!!
怖くて涙が出てくる。
「ごめ・・・・・・なさ・・・・・・」
「許しませんよ」
宗次郎が低い声でそう言ってまた私の左耳を強く噛む。
「宗次・・・・・・郎・・・・・・っ」
耳から血が溢れる感覚。
痛いっ怖い・・・・・・こんな宗次郎見た事無い・・・・・・!
宗次郎の和服から返り血の匂いが立ち込めてくる。
私の着ている着物に宗次郎の和服から血が染み込んでくる。
「嫌っ・・・・・・宗次郎っ!!」
こんなの宗次郎じゃない!!
優しい温かな宗次郎じゃない!!
私の知っている宗次郎じゃない!!