第3章 第三章
どれだけ眠っていたのだろう。
目が覚めた。
あれ・・・・・・?宗次郎が居ない・・・・・・。
隣に居た宗次郎がいつの間にか居なくなっていた。
宗次郎の寝ていた布団には置き手紙が。
「モシ時音サンガ起キタ場合、心配カケナイヨウニト思イマシテ筆ヲ取リマシタ。僕ハ少々食べ物ヲ買ッテキマス。先程コノ近クニ丑ノ刻マデ開イテイル店ガアルトイウ情報ヲ宿主サンカラ聞キマシタ。今ハ子ノ刻デス。少々探スノニ時間カカルカモシレマセンノデ、オ気ニナサラズ時音サンハオ休ミクダサイ。僕ハ絶対ニ居ナクナッタリシマセンノデ。アナタノソバカラ離レマセンノデ。ゴ心配無ク。瀬田宗次郎ヨリ」
美しい文字でカタカナと漢字が並んでいる。
宗次郎の書いた文章を読むと、やっぱりここは明治なんだなと感じる。
カタカナが明治っぽい。
そっかぁ・・・・・・宗次郎、食べ物買いに行ったのかぁ。
宗次郎、食べ物まともに食べてなかったもんね・・・・・・。
子の刻に外に行ったのか・・・・・・。
壁に掛かってる古時計を見ると、短針が子を指していた。長針が丑を指している。
0時10分・・・・・・。
え・・・・・・私そんなに寝ていたの!?
宗次郎が外に行った時刻からそんなに経ってないな・・・・・・。
宗次郎、まだ戻ってきそうにないな・・・・・・。
・・・・・・今しかないかも。
宗次郎から離れるには今しかない。
宗次郎が居ないから。
この機会を逃したら――。
今まで楽しかった。
宗次郎と旅できて楽しかった。
ふいに涙が頬を伝う。
告白できなかったけど・・・・・・でも・・・・・・宗次郎が私を抱きしめてくれたり・・・・・・それだけで満たされた。
うん・・・・・・満たされたんだ。
これでいい。
バカ・・・・・・なんで宗次郎とキスしたいとか・・・・・・考えちゃうのよ!?
これ以上を望んじゃいけない!!
今まで散々宗次郎に迷惑かけてきたんだから!!
もっと迷惑な事を望んじゃいけない!!
望んじゃいけないんだ!!
涙が次から次へと溢れ出してくる。