第3章 第三章
「時音さん・・・・・・?」
宗次郎が眠そうな目をしながらこっちを向いた。
「!!」
「なぜ泣いておられるのです?」
私は宗次郎の髪から手を引っ込めた。
「えっ・・・・・・ううん!なんでも・・・・・・ないの・・・・・・」
「元の時代に帰りたいですか・・・・・・?元の時代が恋しいですか・・・・・・?」
「えっ」
宗次郎は何か勘違いしているようだ。
私は涙をぬぐった。
「私は明治時代が好きだよ。宗・・・・・・次郎が・・・・・・居てくれるから」
私の言葉に宗次郎は瞠目して顔を赤らめた。
「なら・・・・・・なぜ泣いておられたのです?」
宗次郎が切なそうな顔で私を見る。
「ううん・・・・・・それは・・・・・・」
言えない・・・・・・宗次郎から離れようとしているなんて、本人には言えない・・・・・・!!
「なんでも・・・・・・ない・・・・・・の・・・・・・」
宗次郎が起き上がって私の手を握った。
「っ・・・・・・!!」
「何か悩み事がおありでしたらいつでも僕に言ってくださいね」
宗次郎が優しく強く私を見つめる。
「・・・・・・ありがとう」
また涙が溢れてくる。
「色々あってお疲れでしょう。時音さんもお眠りになられてはいかがですか?」
宗次郎に手を握られて安心して眠たくなってきた。
「うん・・・・・・そうするね・・・・・・」
宗次郎が立ち上がって私の分の布団を敷いてくれた。
「ありがとう宗次郎・・・・・・」
「いいえ」
宗次郎が微笑んだ。
私は布団に潜り込んだ。
宗次郎も布団に潜り込んだ。
そして私の方を向いてくれる。
「僕が傍に居ますから悲しくなったらいつでも言ってください」
宗次郎が優しく励ましてくれる。
「うん・・・・・・」
私は涙を流しながら答えた。
「宗次郎・・・・・・」
「はい?」
「少しだけ・・・・・・手を握っていて・・・・・・」
「・・・・・・はい・・・・・・」
宗次郎が優しく私の手を両手で包んでくれる。
私は安心して眠りについた。