第3章 第三章
「なんで?渡しちゃってもいいじゃん!宗次郎!!」
「・・・・・・まぁそう言うと思うとったわ・・・・・・。宗次郎、いざとなったら姉ちゃんのために和泉守兼定を売るつもりやろ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「そうなの?宗次郎・・・・・・?」
「まぁまた来させてもらうわ。わいは警視庁から頼まれとるんや。お前の事も捕まえろっ言われとるんや。宗次郎、裏取引に興味は無いかい?経済的に苦しゅうなっとるやろ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「だんまりかいな。わぁーった。また来るわ。ほなな」
張という人は去って行った。
「宗次郎、とりあえず良かったね。逆刃刀手に入って」
「・・・・・・はい・・・・・・」
「宗次郎?」
なんだか宗次郎が元気無いみたい。
宗次郎がにっこりと微笑んだ。
「緋村さんの所持していた逆刃刀、ようやく僕も手に入れられました。張さんに今度お礼しないと」
「そっちの刀は・・・・・・どうして・・・・・・」
「あ、ああ・・・・・・張さんのおっしゃった通りですよ、売ろうかなって」
「売れるの?」
「分かりません・・・・・・。でも・・・・・・名刀ですので」
やばい、絶対私のせいだ!!
「私が宗次郎のお荷物になってるから宗次郎その刀売らないといけないんだよね!?」
「えっ?お荷物?荷物になんかなってませんよ。時音さんは大切なお方ですから」
「・・・・・・ありがとう。でも荷物になってたら言ってね」
「なってませんよ」
宗次郎が優しく私の手を握る。
「っ・・・・・・」
宗次郎の体温を手の甲に感じて少し驚いた。
「僕の大切なお方です・・・・・・時音さんは」
宗次郎が微笑んで私を見つめる。
ドキドキして目が離せなかった。
「笹団子いただきましょう?」
宗次郎が私から手を離して笹団子を胸元まで掲げる。
「あ・・・・・・うん」