第3章 第三章
「ごちそうさまでした!!」
私は焼肉定食を平らげて手を合わせた。
「宗次郎、ごめんね」
「何がです?」
「私だけ勝手に食べちゃって」
「ああ、いいですよ。僕も後ほど食べさせていただきますし」
「ほんと?良かった」
私は笑顔になった。
「膳をお下げいたします」
宿主さんが入ってきた。
「ありがとうございます」
私は宿主さんにお礼を言った。
「宗次郎、おるかい?」
「なっ・・・・・・なんですか?あなたは?」
突然現れた、前に見かけた人に驚く宿主さん。
「張さん!!」
宗次郎も驚く。
「わいはそこの宗次郎っちゅう男に用があってな」
「そ・・・・・・そうですか・・・・・・」
宿主さんが困惑している。
「宗次郎、土産や。受け取りぃな」
張という人が笹団子を六つ宗次郎に放り投げた。
宗次郎がキャッチする。
「わいの分もあるけどそれ全部宗次郎にやるわ。せやないと宗次郎、話聞いてくれんもんな」
「話・・・・・・?」
宗次郎が少し険しい顔をする。
「では・・・・・・ごゆっくり」
膳を持って宿主さんが少し慌てて外に出た。
「せや。宗次郎、わいがなんでも言う事聞いちゃるから和泉守兼定をわいに譲ってくれへんか?」
「・・・・・・ダメです」
「なんでも言う事聞いちゃる言うてるのに・・・・・・」
「あの・・・・・・張・・・・・・さん?私達は逆刃刀を探しています。逆刃刀があればきっと宗次郎はその刀を張さんに渡すと思いますよ?」
私の言葉に宗次郎が私を一瞥する。
「逆刃刀?ほんまかい?わい持っとるで?」
張さんが背中から逆刃刀を――!!
「逆刃刀!?」
私は驚いて声を上げた。
「惜しいなぁ・・・・・・めっちゃ惜しいわぁ・・・・・・わいのもんになっとった逆刃刀やのに・・・・・・。でも和泉守兼定を手に入れられるんやったらかまへんで」
「張さん・・・・・・」
宗次郎も目を見張っている。
「やるわ。受け取り」
張さんが逆刃刀を宗次郎に投げた。
宗次郎が左手で受け取る。
「本当にいいのですか?」
宗次郎が張さんに訊く。
「ああ、かまへん」
「では・・・・・・いただきます」
「和泉守兼定を渡してもらおうか」
「ダメです」
・・・・・・宗次郎!?