第3章 第三章
「ごめんね宗次郎・・・・・・。私、焼肉定食がいい」
「分かりました、頼んできますね」
「あっ、宗次郎はいいよ座ってて。私が注文してくる。宗次郎も後で食べないとダメだよ」
私は立ち上がって部屋の障子を開けた。
「時音さん・・・・・・」
「じゃあ注文してくるね」
私は障子を閉めて廊下を急いで歩いた。
今、宗次郎の分も無理矢理注文しちゃおうか・・・・・・宗次郎に食べさせるために。
でも・・・・・・宗次郎本当に食欲無い顔してたな・・・・・・食欲無いというか・・・・・・元気が無いというか・・・・・・淑やかというか・・・・・・。
夕食には食べてもらおう。
今は・・・・・・どうしよう・・・・・・そっとしておこうかな・・・・・・。
それか私が食べる焼肉定食を私が箸で宗次郎に食べさせて間接キス・・・・・・なんて・・・・・・キャー何考えてんの私!!
私はにやけながら階段を下りた。
宗次郎・・・・・・本当に大丈夫かな・・・・・・倒れちゃいそう、何か食べないと。
無理矢理にでも食べさせようかな・・・・・・。
あ・・・・・・でも無理強いして嫌われたくないな・・・・・・。
私は宿主さんに、
「あの、食事を注文したいのですが」
と言った。
「はい。どうぞ」
宿主さんが笑顔で答える。
「焼肉定食を一つ、お願いします」
「分かりました。出来次第お部屋までお持ちします。少々お待ちください」
「ありがとうございます」
くぅ・・・・・・!!この焼肉定食のお金も宗次郎が出すのか・・・・・・!!
宗次郎は食べないで私だけ宗次郎にお金頼って……なんておこがましいんだ私・・・・・・!!
恥ずかしい・・・・・・!!
私・・・・・・早く働かないと・・・・・・!!
働いて宗次郎にお金返さないと・・・・・・!!
私はそんな事を思いながら階段を上った。