第3章 第三章
宗次郎が強く地面に着地した。
「時音さん、今度は気持ち悪くならなかったですか?」
至近距離で私を見つめて微笑む宗次郎。
ドキッとした――。
・・・・・・宗次郎・・・・・・もしかして私が吐きそうになるから走るのをやめて跳んだの・・・・・・?
「あっ・・・・・・ありがとう・・・・・・」
「いえいえ」
宗次郎が微笑んで私を降ろす。
「では今度から跳ぶ事にしますね。ちょっと人目についちゃうけど時音さんが気持ち悪くなるよりはいいですし・・・・・・」
そこまで気遣ってくれるなんて・・・・・・。
「本当にありがとう、宗次郎」
「いいえー」
宗次郎が微笑む。
「では早速」
宗次郎が藤宮医師から処方された塗り薬を取り出す。
――っ!?
宗次郎が自分の首筋に塗り薬を塗った!?
「何してるの宗次郎!?」
「えっ?いえ、あの医者絶対黒だと思うんですよ。僕の刀を見つめていたし所々不自然だったじゃないですか。僕を狙っているのかなと・・・・・・。僕のこの刀を・・・・・・。だからこの薬も、時音さんに何かあったら困るから僕が先に毒見役として塗っているんです」
「そ・・・・・・そんな事・・・・・・ないんじゃないかな」
「でも・・・・・・万が一これに毒が入っていたら・・・・・・という事もありますし・・・・・・。僕が塗って平気だったら時音さんも塗って構わないです」
「そんな・・・・・・」
良い医者っぽかったけどな・・・・・・。
「もし・・・・・・もし毒が入っていたら・・・・・・宗次郎・・・・・・死んじゃうの・・・・・・?」
宗次郎が塗り薬に鼻を近付けた。
「・・・・・・トリカブトとかそういう類いの匂いはしませんね・・・・・・毒の入っている匂いはしません。少なくとも僕が死ぬ事は無いでしょう。大丈夫ですよ」
宗次郎が微笑んだ。