第3章 第三章
「こちらへ」
藤宮医師が私達を診察室?に来るようにと促す。
――?
藤宮医師が宗次郎の・・・・・・刀を見ている。
「廃刀令が下されてもまだ刀を持っている若者が居るとはな」
「すみません・・・・・・でも僕の大切な刀でして」
宗次郎が申し訳なさそうに笑う。
「まぁいい。そこの女性、どこを怪我しているんだい?」
「・・・・・・言いにくいんですけど・・・・・・橋から身投げしました。そして川に全身を酷く打ち付けて・・・・・・所々血が出てしまって・・・・・・」
「・・・・・・身投げ・・・・・・もうするんじゃないよ?」
藤宮医師が私を見て言った。
「念のために傷口を見せてもらおうか」
え・・・・・・。
「それはダメです!!」
えっ・・・・・・宗次郎・・・・・・?
「ダメです!時音さんの・・・・・・その・・・・・・」
「ああ、診察で裸を見られたくないと?」
「はい!!」
私は驚いて宗次郎を見つめていた。
宗次郎・・・・・・守ってくれたの・・・・・・?
「・・・・・・えっと・・・・・・腕なら見せられますが・・・・・・」
私は着物の袖を捲って藤宮医師に傷口を見せた。
「ふむ・・・・・・応急処置が的確だったみたいだな。この傷なら数日で治るだろう。今、傷口は痛むかい?」
「あ、はい、少し・・・・・・」
私はそう答えた。
「痛みも数日でひくだろう。塗り薬を処方しておこう」
「ありがとうございます」
藤宮医師にお辞儀した。
「ありがとうございます!」
宗次郎も笑顔で医師にお辞儀した。