第2章 第二章
「ありがとうございました」
宗次郎が男性にお辞儀する。
私もお辞儀する。
私と宗次郎は歩き出す。
「おう!幸せになぁ!!」
手を大きく振る男性に宗次郎も笑顔で小さく手を振り返す。
「幸せにってどういう意味で言ってるんでしょうね」
宗次郎が小さく囁いた。
その小さな声が色っぽくてゾクゾクした。
私は赤くなって俯いて歩いた。
「時音さん?」
宗次郎が、どうしたの?というように私に訊いた。
「いや、ちょっと・・・・・・照れちゃって」
本当に心臓がヤバイ。
さっきの男性に、私と宗次郎がカップルに間違われた。
宗次郎は否定したけどカップルに間違われて嬉しかった。
本当に付き合えたらどんな世界が見られるんだろうと考えるとドキドキして・・・・・・。
「ああ。僕と時音さん、恋仲と思われちゃいましたね、先程の男性に」
宗次郎がにこやかな声で言う。
「うん・・・・・・」
「・・・・・・否定しない方が良かったですか・・・・・・?」
「えっ・・・・・・?」
思わず宗次郎を見ると宗次郎が珍しく真顔で私を見ていた。
「あはは、冗談ですよ、否定した方が時音さんに迷惑かからなくて済みますよね」
宗次郎が前を向いて微笑んだ。
「否定しないでほしかった・・・・・・」
「――えっ」
「ううん、なんでもない」
驚く宗次郎に微笑んでみせた。
「八里ってどのくらいの距離だろう?八里って何メートルなのかな・・・・・・」
「メートル?外国の測定法ですか?そっか、開国して明治に入って外国との交流も多くなって、未来にはもっと外国と親睦が深まって色々と交流して変わっているのでしょうね、今とは」
「あ、うん、そうだね」
「八里は普通の人にとってはかなり遠いですよ。僕には一瞬ですけどね。一里移動するのに・・・・・・あ・・・・・・普通の人の足の速さ解らないや。僕なら一里を40秒で駆け抜けられますね。普通の人なら僕の5倍は遅いと思いますが」
「・・・・・・凄いんだね・・・・・・!!」
そういえば宗次郎の脚力は尋常じゃ無い。
普通の人はあんなに跳べない。
「宗次郎って・・・・・・何者なの・・・・・・?」
「えっ?」
宗次郎が驚く。
「僕は・・・・・・るろうにです」
にこにこ微笑んで宗次郎がそう答えた。