第2章 第二章
数秒経って、玄関が開いた。
「どちらさんだね?」
中から40歳くらいの男性が出てきた。
「この辺りに医師はおられますか?この女性が怪我していて、医師に診ていただきたくて・・・・・・」
「医者ねぇ・・・・・・まぁ俺もよくかかってるんだけども、藤宮先生っていう医者がおるね。この道を道なりに八里(はちり)ほど行けば藤宮先生んとこだね」
「ありがとうございます!!」
宗次郎が弾んだ声で礼を言った。
「めごげなおなごだな。あんたの恋人かい?」
宗次郎の胸元を肘で軽くつついてにこにこ冷やかすその男性。
「ははっ。違いますよ」
宗次郎がにこやかに否定する。
少しだけ胸に痛みが走った。