第1章 第一章
「映画村ってなんですか?」
宗次郎が私に訊く。
「京都にある時代劇用のセット。幕末の時代とかのセットがあるの」
「・・・・・・不思議な人だなぁ時音さんは。僕が知らないだけかな?せっととはなんでしょう?京都にそういったものは無かったはずなんですけどね・・・・・・」
「え・・・・・・ここ京都じゃないの?」
「ここはどこでしょうね・・・・・・雪国だと思うのですが」
京都の映画村じゃない・・・・・・?
そうよね、私、映画村の近くには居なかったもの。
だとしたら目の前の建物は・・・・・・。
「くしゅっ・・・・・・!すみません、時音さんは寒くないですか?」
体が震える。
寒い・・・・・・。
「濡れた服を早く乾かすのが先決なんですけどねぇ・・・・・・民家がたくさんある所で火を焚いたりなんかすると火付けと思われそうですね。もちろん山とか川とかでも怪しまれますね」
民家・・・・・・今時時代劇風の家ってたくさんあるのかな・・・・・・。
「仕方ない。医者の有無を確認するためにも民間人に頼りましょう」
宗次郎が笑顔で歩き出した。
私も宗次郎の後を追いかける。