第1章 第一章
「時音さん、本当に橋の上から飛び降りました?」
宗次郎が私に問いかける。
「え・・・・・・?」
「いきなり空中に人が現れて川に落ちたから、僕、驚いて・・・・・・」
「私が・・・・・・?」
「はい・・・・・・僕の見間違いかもしれませんが」
宗次郎が困ったように笑った。
「おい!そこで何している!!」
声の太い男性の声がした。
宗次郎も私も声の主を見た。
あれは・・・・・・軍人さん?
なんだか軍服っぽい。
おかしいな、今の日本には居ないような昔の格好をしている。
「まずい!!」
宗次郎が私の体を抱き起こす。
「えっ?」
次の瞬間、私は宗次郎の腕の中に居て宙を舞っていた。
「きゃあああああああああああああああ!!」
高い・・・・・・!!怖い!!
「しっかり掴まっててくださいよ!」
宗次郎の声と顔が近い。
ドキッとした。
「こらぁー!!曲者!!戻ってきなさい!!」
遠くでさっきの軍人っぽい人の声が聞こえる。
「よっと」
地面に降り立ち、強く地を蹴って再び跳ぶ宗次郎。
「いいいやああああああああぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「高い所苦手ですか?」
宗次郎が優しく私に声をかける。
私は宗次郎に抱きついて風の速さを身に受けていた。
「大丈夫ですよ、もうすぐ降りますから」
「よっ」
少しの衝撃を感じて宗次郎が私を地面に立たせた。
良かった、地面に降りてくれて・・・・・・。
「夜には宿屋も服屋も開いてないからなぁ。困りました」
宗次郎が降り立った町を見て困っていた。
「なに・・・・・・ここ・・・・・・映画村?」
私は目の前の和風な長屋や町並みを見て少し驚いた。