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天剣は春色を映して

第2章 第二章


前を見てみると、ポツポツと一軒家が点在していた。


「医者の聞き込みをします。僕の脚を最大限活用して早く聞き込みをしようと思うのですが・・・・・・そうはいきません。時音さんが居ますからね」


「私を今みたいに担いでくれていいよ」
私がそう言うと宗次郎がキョトンとした顔をした後、心なしか赤くなっていた。


「いえ・・・・・・それは・・・・・・」


「えっ・・・・・・できないの?」


「いえ、そういうわけではなくて・・・・・・」
宗次郎が困ったように目をそらす。


「その・・・・・・」


「なんで?」


「時音さんが僕に密着する時間が長くなるって事じゃないですか。僕、それが恥ずかしくて・・・・・・」


えっ・・・・・・?


「照れて・・・・・・るの?」


頬が熱い・・・・・・!!
私の方が照れてしまう。


「・・・・・・はい・・・・・・」
宗次郎が困ったように言った。


「なので歩いて聞き込みします。もし時音さんが歩くの辛くなったら僕が再び腕に抱きますから」


腕に抱く・・・・・・。
ドキドキする・・・・・・そうだ・・・・・・私・・・・・・宗次郎に何回もお姫様抱っこしてもらってたんだ・・・・・・!!
うわぁ・・・・・・!!


「じゃあ・・・・・・行きますよ」
宗次郎が前を向いて歩き始めた。


私も小走りでついて行った。
そして宗次郎の隣に並んで歩いた。


・・・・・・こうやって歩いているとカップルに間違われたり・・・・・・しないか。


そっか・・・・・・カップルじゃないんだ・・・・・・まだカップルじゃないんだ・・・・・・付き合ってないんだ・・・・・・。
こんなにたくさん宗次郎と触れ合ってるのに・・・・・・まだ・・・・・・。


「どうしました?疲れておられますか?」


「えっ?ううん」


宗次郎に余計な心配かけないようにしよう。
私は満面の笑みを宗次郎に向けた。
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