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天剣は春色を映して

第1章 第一章


チュンチュン・・・・・・チュン。


「ん・・・・・・うん・・・・・・」
鳥の鳴き声で目を覚ました。


「おはようございます」
澄んだ美しい声が頭上から聞こえてくる。


「宗次郎・・・・・・っ」


そうだ!私、宗次郎の腕の中で眠っちゃったんだった!!
ひ、一晩中宗次郎はこうして私を抱きしめていてくれたの――!?


「だ、大丈夫ですか!?時音さん!!」


気絶しかけた。あまりに嬉しくて。


「大丈夫。・・・・・・宗次郎は一睡もしなかったの?」


「はい。時音さんを野生動物から守らなくては!と思いまして」
宗次郎がにっこりと微笑んだ。


私はドキドキして宗次郎の腕の中から離れた。


「時音さん・・・・・・?」
宗次郎が不思議そうに私を見る。


「あんまり私に優しくしないで・・・・・・優しくされたら私・・・・・・」
もっと宗次郎のこと好きになって宗次郎から離れられなくなる――!!


「僕は・・・・・・優しく在りたいんです。今まで生きてきた中で本当に心から人を思いやったことなんて数えるくらいしかなかったですから・・・・・・。だからもっと尽くさせてください。人のために尽くす事を覚えるのもきっと僕の人生で大切な事だから――」


宗次郎――。


「あ・・・・・・うん・・・・・・。立派だね宗次郎・・・・・・」


宗次郎がとてもとても美しく見える。


「さてと。山菜探しますね。せり、なづな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ・・・・・・この山に有りますかね」
宗次郎が屈んで山菜を探し出した。


手伝いたいけど・・・・・・ダメだ。どれが食べれる山菜か全く解んない。


「ぜんまい発見しました!火炙りして食べられるかなぁ・・・・・・?」
宗次郎がぜんまいをまじまじと見つめている。


「なんか・・・・・・知識無くて手伝えなくてごめんね宗次郎・・・・・・」


不甲斐ない。


「大丈夫ですよ。時音さんは怪我人なのですからあまり動かず休んでいてください」
宗次郎が笑顔で私に言う。
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