第1章 第一章
「傷の方はどうですか?痛みますか?」
焚き火のそばで宗次郎の腕に包まれながら宗次郎の声を聞いている。
「・・・・・・・・・・・・」
「時音さん・・・・・・?」
耳を澄ませば宗次郎の心臓の鼓動が聞こえてきそう・・・・・・。
私は宗次郎の胸にぴっとりと耳を当てている。
宗次郎・・・・・・きっと穏やかで緩やかな、温かな鼓動をしているのだろうな・・・・・・。
「どうしたのです?」
宗次郎の心配そうな声を聞いて涙が溢れてきた。
離れるって決めたのに――!!
「離れたく・・・・・・ない・・・・・・よっ」
涙がどんどん溢れてくる。
私は宗次郎の服の胸元をぎゅっと握った。
大好き・・・・・・宗次郎・・・・・・離れたくない・・・・・・っ!!
「大丈夫ですよ。僕は時音さんから絶対離れません。大丈夫です」
ダメだよ・・・・・・私と一緒に居たら・・・・・・宗次郎がまた殺生をしてしまう!!
「ありがとう・・・・・・宗次郎・・・・・・」
宗次郎から離れようとしているのを誤魔化すために適当にありがとうと言った。
離れたくない――。離れたくないよ!!
「僕の腕の中でゆっくりお休みください」
宗次郎が囁くように言った。
焚き火の暖かさも手伝って私はいつの間にか眠っていた。