第1章 第一章
「この辺りで寝泊りしましょうか、今夜」
宗次郎が私から手を離し、何かを探し出した。
そしてしゃがんで何かを集めている。
宗次郎の傍に行って見てみると、宗次郎は木の枝を集めていた。
「僕は負けません。熊にも人にも自分の心にも。あなたを守るためなら乗り越えますよ」
宗次郎――。
本当は殺生なんかしたくないはずなのに・・・・・・私なんかのために・・・・・・。
離れた方が・・・・・・いいのかな・・・・・・宗次郎から・・・・・・。
「?」
宗次郎が私の顔を覗き込む。
「なんでもないよ」
私は笑いながら宗次郎から目をそらした。
離れよう――。
宗次郎に迷惑かけないように――。