第1章 第一章
「僕らも行きましょう・・・・・・」
宗次郎が囲炉裏のある部屋に行き、私の服と宗次郎の着ていた群青色の和服を持って私の前に戻ってきた。
「うん・・・・・・」
私は宗次郎の手から自分の服を受け取った。
「っ・・・・・・っ・・・・・・おばあちゃんっ・・・・・・」
涙が溢れてくる。
「優しいんですね時音さん」
宗次郎が頭をぽんぽんとしてくれた。
宗次郎も涙ぐんでいる。
宗次郎が草鞋を履き始めたので私もスニーカーを履いた。
「傷の方は痛みますか?」
「ちょっとだけ。平気だよ」
私は宗次郎に微笑んだ。
「医者は明朝から聞き込みして探します。それより今夜をどうやって乗り切るかなんですが・・・・・・」
宗次郎が険しい表情になる。
「剣客達が僕を狙っているのなら、安心して休む事はできないです。いつまた攻撃されるか解りません」
「そうだね・・・・・・」
「あっ、でも、時音さんには安心して休んでいただけるように尽くしますから」
宗次郎が微笑んだ。
「ねぇ、思ったんだけど、医者って聞き込みしないと居ないの?病院とかそこら中にあるのに」
宗次郎が私の言葉にきょとんとした。
「宗次郎、やっぱりおかしいよ。病院が無いなんて、まるで昔の時代じゃないの」
「うーん・・・・・・僕には時音さんがとても変わったお方に思えます」
「・・・・・・・・・・・・」