第1章 第一章
えっ・・・・・・何?何?宗次郎の知り合い?
私は少し驚きながら二人を見ていた。
「しっかし宗次郎もやっとおなご作りよったんかいな。後ろに居よるねぇちゃんと恋仲なんやろ?」
宗次郎が驚いて振り向いて私を見る。
「ち、違いますよ。時音さんは怪我人だから擁護しているのです」
「ふーん・・・・・・ふんふん。せやったらなんで顔赤うなっとるん?」
「えっ・・・・・・そんな・・・・・・僕・・・・・・えっと・・・・・・」
「なんや宗次郎もかわええなぁ。ま、話戻すで。和泉守兼定を狙ってる奴らの目星はもうついとる。宗次郎が剣を振るう必要は無いんや。これ以上人を殺めたらさすがのわいも警視庁に隠せん。宗次郎、お前が今以上に警察に追われる身になってもええっちゅうんなら話は別やけどな」
「張さんは僕に警告に来てくださったんですね。ありがとうございます」
「わいはお前の事はなんとも思っとらん。過ぎた昔の仲間やさかい、今はどうでもええんや。お前にはお前の人生があるやろうし。せやけど、裏取引って結構良い条件やで。ごっつ金もろとるんや。宗次郎もやらんかい?」
「くすっ。今度は僕を誘っているのですか」
「まぁ、無理にとは言わん。ただ、大久保卿暗殺とか、そういう過去隠すさかい、お前にも・・・・・・」
キィィィン!!
宗次郎がいきなり張という人に斬りかかった。
「張さん、言葉が過ぎやしませんか?」
「なんや・・・・・・怖い顔しよって・・・・・・後ろのねぇちゃんか?和泉守兼定しまいな」
張という人は刀でなんとか自分の身を守った。
宗次郎は刀を鞘に納めると、
「僕にも知られたくない事があるんですよ」
と真顔で言った。
「ったく。おい、ねぇちゃん」
張という人が私を呼んだ。
「宗次郎、あんさんにむっちゃ惚れとるで!!」
「ちょ・・・・・・張さん!?」
宗次郎が顔を赤くして、
「違うっ!!」
と叫んだ。
「張さん、話が終わったんならとっとと帰っていただけませんか!?」
宗次郎が帳という人を外へ追い出す。