第1章 第一章
〈宗次郎目線〉
お婆さん!!一体何があったというのです!!
僕はお婆さんの元へ駆けつけた。
「――!!」
血まみれのお婆さん。玄関には刀を携えた剣客が数名。
そこからは覚えていない。
僕は逆上したのだろう。
瞬天殺を使った時の死に方の死体が数体。
僕の体に真っ赤な返り血・・・・・・。
「――ハッ」
殺して・・・・・・しまった・・・・・・。
もう人を殺さないと、緋村さんのように生きてみようとしていたのに・・・・・・。
こいつらはお婆さんを狙っていたのか・・・・・・それとも・・・・・・。
「相手に狙いを訊きそびれるとは・・・・・・僕も大層気が動転しちゃってたんだなぁ・・・・・・」
お婆さん・・・・・・。
僕はお婆さんに近寄った。
・・・・・・手遅れだ・・・・・・亡くなっておられる・・・・・・。
「宗次・・・・・・郎・・・・・・っ」
時音さん!?
振り返ると時音さんが震えながらこちらを見ていた。
「・・・・・・剣客の奇襲です。狙いは解りません・・・・・・。お婆さんは・・・・・・もう・・・・・・」
「そん・・・・・・な・・・・・・」
時音さんはか弱い声を出して崩折れた。
「大丈夫ですか」
僕は時音さんに近づいた。
うっ・・・・・・顔についた返り血が気持ち悪い・・・・・・。
血の匂いが立ち込めてくる。
「宗次郎・・・・・・人を・・・・・・殺したの?」
僕は目を見張った。
そうだ・・・・・・僕は・・・・・・。
殺してしまったんだ・・・・・・。
時音さんが悲しそうな顔で涙を流しながら僕を見上げる。
嫌われるだろうか。
こんな僕は・・・・・・。
嫌だ・・・・・・嫌われたくない・・・・・・。
時音さんにだけは嫌われたくない・・・・・・!!