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天剣は春色を映して

第1章 第一章


「っ・・・・・・え・・・・・・?時音さん・・・・・・?」


宗次郎が少し驚いたような声を上げた。


私は宗次郎の手をぎゅっと握っている。


「・・・・・・」
宗次郎は黙っていた。


「・・・・・・ごめんね」
私は宗次郎の手から自分の手を離した。


「・・・・・・」
宗次郎は黙って手を引っ込めた。


どんな表情をしているのだろう、今――。


私は後ろを振り向いた。


宗次郎は少し困ったような顔で目を細めていた。


「ご、ごめん、宗次郎」


「いえ・・・・・・ただ・・・・・・少し照れてしまいました」
宗次郎が困ったような笑顔を私に向けた。


宗次郎が再び私の着物の着付けをしてくれた。


「これでよし!・・・・・・と思うのですが」


「凄い!宗次郎!うん、たぶんできてるよこれ!」
私は嬉しくて小回りした。


お洒落な着物だなぁ。
宗次郎が選んでくれて、着付けしてくれた。
大切に着よう。


「とてもお似合いですよ」
宗次郎が微笑んだ。


「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!!」
突然、おばあちゃんの悲鳴が聞こえた。


宗次郎が驚いて部屋の外に目を向ける。


おばあちゃん・・・・・・!?
一体何があったの!?


私も驚いて、おばあちゃんの所へ向かおうとした。


宗次郎が私の腕を引っ張った。


「ここに居てください」
宗次郎が真剣な目で私を見た。


「あ・・・・・・う・・・・・・ん・・・・・・」
私は宗次郎の気迫に圧倒された。


宗次郎は壁に立て掛けてあった日本刀を手に取り、急いで部屋の外へ出て行った。
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