第1章 第一章
私は帯を手にして、はたと悩んだ。
一人で着ようとすると着物って物凄く難しい・・・・・・。
「そ、宗次郎、帯ってどうやって結ぶの?」
「え?」
少し驚いた宗次郎の声がした。
「ちょっと来てもらえる?」
宗次郎が中に入ってきた。
「僕、女性の着付けしたこと無いんですよ。でも」
宗次郎が帯を私のウエストに巻いてくれる。
宗次郎が私を後ろから抱きしめるような姿勢になって、
「こんな感じでしょうか」
宗次郎の声と共に吐く息が耳元にかかってドキッとした。
「時音さん、女性でしょう?着物着た事無いのですか?」
「え・・・・・・あるけど・・・・・・」
あるけど自分で全部着た事は無い。着せてもらった事しか・・・・・・。
「そういえば時音さん、洋風の服着ていましたよね?外人さんとか?」
「え・・・・・・?」
私のファッション普通に誰でも着てるよ?
「日本語話しておられますし、時音さん外人さんじゃないですよね・・・・・・不思議だなぁ」
宗次郎が私の着付けをしてくれながら言った。
また耳に息がかかる。
はうっ・・・・・・。
私は心臓をバクバクさせながら目をギュッと瞑った。
「・・・・・・どうかしましたか?」
「ど、どうもしてないよ!!」
私は心臓の高鳴りを悟られないように必死でごまかした。
宗次郎の手が私のお腹にある・・・・・・。
「・・・・・・」
触れてみたい・・・・・・。