第3章 第三章
「よぉ姉ちゃん」
前からひょっこり張さんが現れた。
「!!張さん!!」
「耳、貸してみ」
そう言うと張さんはしゃがみこみ私の耳元で、
「宗次郎は大丈夫や、生きとるで」
と囁いた。
「っ・・・・・・本当ですか!?宗次郎が生k・・・・・・」
ぐっと手で私の口元を塞ぐ張さん。
「周りの警官には内緒や。言うたらあかん」
と囁く張さん。
私はびっくりしたがコクコクと頷いた。
張さんが手を離してくれた。
「おい、今お嬢さんになんて言ったんだ?」
「別に?なんも言うてないで?」
張さんが笑顔で答える。
・・・・・・良かった!!
宗次郎が生きてる!!
でも・・・・・・どこに居るんだろう?
「姉ちゃんを署に連れて行くんか?」
「そうだ」
張さんが険しい顔になる。
そして困ったように溜め息をつく。
「まぁ好きにせいや」
・・・・・・張さん?
「わいも同行したいけど・・・・・・」
宗次郎がなと口パクして私の方を見る張さん。
もしかして・・・・・・張さんが宗次郎を介抱してくれてるの?
・・・・・・張さんは宗次郎の刀を狙っていたけど・・・・・・でも・・・・・・この人なら・・・・・・張さんなら宗次郎を託せる。
安心して任せられる。
「姉ちゃんも毒盛られたんやな。わいが運ぶわ。馬車どこや?」
張さんがひょいと私を抱き抱えた。
お姫様抱っこ・・・・・・。
お姫様抱っこって誰にされても照れるものなんだな・・・・・・。
「馬車まで運んだらわいは・・・・・・」
「解りました。ご協力感謝いたします」
警官が張さんに礼を言った。
・・・・・・宗次郎が生きてて本当に良かった・・・・・・。
私は涙を流した。