第3章 第三章
「それにしてもあいつ、らしくないなぁ」
張さんがふいに呟いた。
?
「あいつや。わざわざあの場所まで自殺に行きよるなんてあいつらしくないぃ」
宗次郎の事・・・・・・?
「あいつは勝負事は必ず勝ちに行く強気なところあるさかい。ほんま何しとんねやろ。全然あいつらしくないぃ」
確かに・・・・・・。
「なんかこの世の終わりでも感じよったんかいな?落ち込むような事あったんかいな?」
・・・・・・私のせいかも・・・・・・。
張さんが警官の後ろを私を抱えて歩きながら不思議そうな顔をしている。
・・・・・・絶対・・・・・・私のせいだ・・・・・・。
「まぁ安心しとき。あいつは姉ちゃんの元へ駆けつけようとするやろうから。ただ警官を斬ってしまわないかそれだけが心配や。あ・・・・・・姉ちゃんにあいつの過去がバレるんも心配や。あいつの事嫌いにならんといてや姉ちゃん。あいつには姉ちゃんしかおらんさかい」
・・・・・・え?
「過去?」
「色々あったんや・・・・・・」
「・・・・・・嫌いになんてなりません・・・・・・私はあの人が・・・・・・あの人の事が・・・・・・」
「・・・・・・早う想いを伝えてやれ。あいつ喜ぶから」
「えっ・・・・・・」
張さんに私の宗次郎への気持ち・・・・・・バレてる!!
頬が火照った。
「喜ぶ・・・・・・かな・・・・・・?」
「なんや不安なんか?わいが手伝うたろか?」
「えっ!?いいですいいです!!自分で・・・・・・」
自分で言うから・・・・・・いつか宗次郎に・・・・・・好きですって・・・・・・。
「わぁーった。人様の恋路に手ェ出さんとくわ」
張さんが笑った。
「もうじき馬車のある場所です」
「わぁーった」
警官と張さんが言葉を交わす。
暫くして馬車が見えてきた。
警官が馬車に駆け寄って馬車を借りようと交渉している。
「姉ちゃん、あいつを独りにすんなや。姉ちゃんがあいつの心の支えやさかい。わいには解る」
「・・・・・・そうなのですか・・・・・・?」
「ああ」
「・・・・・・解りました」
もう宗次郎から離れようなんて考えないよ。
だから・・・・・・宗次郎・・・・・・今度こそ一緒に生きていこう。
私はもう居なくなったりしないよ・・・・・・。
絶対に。