第3章 第三章
「お嬢さん、重要参考人としてあなたを警察署に連行します。ついてきてください」
「えっ・・・・・・」
連行!?私何か悪い事した!?
「動けなさそうだよな、お嬢さん、体調悪いかい?」
「毒を・・・・・・盛られて・・・・・・」
「なんだと!?毒!?誰にだ!?」
「藤宮医師の処方した塗り薬・・・・・・です・・・・・・」
「あの犯罪医師!!おい、藤宮医師の刑をもっと重くするよう上層部に伝えろ!!」
「はい!!」
警官が一人走っていく。
「お嬢さん、大丈夫ですか!?」
「私・・・・・・なんとか・・・・・・大丈夫ですけど・・・・・・」
「大丈夫じゃなさそうだな。おい、解毒薬ってあるか?」
「署にならあると思います」
「分かった。この女性を署まで馬車で運ぼう」
「はい!!」
「あっ・・・・・・あの・・・・・・」
宿主さんが後ろから顔を出していた。
「お客さんを連れて行かれるんですか?」
「はい。重要参考人として。それと毒が体に巡っているようなので解毒も」
「毒って・・・・・・ほんとですか!?」
宿主さんが驚く。
「宿主さん・・・・・・私・・・・・・お金を・・・・・・払えなくて・・・・・・すみません」
「お金?あっ・・・・・・!!」
宿主さんは奥に引っ込んだ。
そしてしばらくして出てきた。
「これ、お客さんの財布でしょう?洋風な服も」
と、宗次郎の財布と私の平成の頃の服を私に差し出した。
宗次郎が・・・・・・昨日・・・・・・置いてった財布・・・・・・。
“そのお・・・・・・金で・・・・・・宿代とこれからの食事代・・・・・・を・・・・・・っ”
宗次郎の言葉を思い出して涙が溢れてきた。
「お客さん!?大丈夫ですか?」
宿主と警察がおろおろする。
「それ・・・・・・宗次郎の財布なんです。私のために・・・・・・宗次郎が・・・・・・」
「お客さん、なんか大変な事になってるみたいだから宿代は要らないよ。お連れさん見つかるといいね」
「そんな・・・・・・本当にいいのですか?」
「いいよ。今回だけ特別」
「ほんとに・・・・・・いいのですか?」
「いいよ」
「すみません・・・・・・ありがとうございます」
私は服と宗次郎の財布を大切に抱えた。