第14章 襲撃
目を覚ますと、血生臭い場所にいた。
麗「・・・黒曜・・じゃ、ない・・・?」
目の前の壁に触れる。が、自分の腕は壁をすり抜けてしまった。
麗「夢か、それとも誰かの記憶に入っちゃったってのが妥当かもな・・。」
悲鳴の上がる扉の向こう。
麗は怖気ずにスッと扉をすり抜けた。
「やめろっ!!」
「頼むっ!!命だけは・・・!!!」
白衣を着た恐らく研究員であっただろう人物たちは血を出して倒れた。
中心に立っているのは幼い男の子。
麗「・・・あの髪色・・骸・・?」
少年はくるりとこちらを向いた。
骸「おや、どちら様ですかね。」
自分と目が合っている。なら、自分に言われた言葉なのだろう。
麗「私は鷹宮麗。貴方は?」
骸「クフフ・・・初めて会った人間に名前を名乗る人は初めて会いました。・・・いいでしょう。僕は六道骸です。」
麗「・・・六道、骸か。」
骸「何故貴女は此処に?その年齢なら実験体ではないのでしょう?」
麗「・・・貴方に呼ばれたんじゃないかしらね。」
骸「おや、僕にですか?」
麗「痛かった、んだよね。その目。」
スッと骸の右頬に手を添える。
骸「・・・。」
麗「貴方が実験体がどうのって言ってた事から、貴方のこの眼は、誰にでも移植出来る物じゃないんでしょう。これその物に痛みもあるんだと思う。」
骸「・・・クフフフ。この眼をご存じなので?」
麗「いいや。知らない。・・・こうやって、貴方の過去に勝手に触れてる私は、悪い人間なんだよ。」
ギュウッと抱きしめる。
麗「貴方に呼ばれた理由、分かった気がする。」
骸「・・・本当に悪い人間は、自分で悪い人間だと言わないんですよ。」
ソッと麗の背に手を添える骸。
骸「貴女は僕を否定しないんですね。」
麗「・・・存在を否定出来るほど、私は偉くもないからねぇ。」