第5章 夏休み
部屋で一人、本を読んでいる麗。
麗「・・・買い物にでも出ようかしら・・。」
ふらりと出かけた先は商店街。
麗「・・・思ったより栄えてるのね・・。」
周囲の人々が麗を見ている事など気付かない麗は、商店街を突き進む。
ふと目に留まったお店に入ると、アクセサリーのお店だった。
「いらっしゃいませ。」
店内は落ち着いた雰囲気で、麗の好みだった。
麗「・・・これ、ください。」
綺麗な土星のネックレス。土星に青い石がはめ込まれている。
「はい、かしこまりました。お包みしますので少々お待ちください。」
スッとショーガラスの中から取り出され、箱に仕舞われるネックレス。
麗「・・・ここにあるものは、貴方が?」
「えぇ。同じものは、二度と作れないんですけどね。」
穏やかに笑う老父。この人だから、ここのアクセサリーは綺麗なのだろう。
麗「また来ますね。」
老父「はい。いつでもお待ちしております。」
チリンチリンとベルの音を立てて店を出た。
また、来よう。とくるりと振り返って店を見る。
麗「・・・次は恭弥とでも来ようかしら・・。」
嬉しそうに商店街を抜ける麗の首元には、ネックレスが光っていた。