第4章 野球
翌日、学校に来てみると教室には誰もいなかった。
麗「・・・?」
「あ、おはよう鷹宮さん!!!大変なの!!山本くんが利き腕怪我しちゃって野球出来ないからって、屋上から飛び降りようとしてるの!!!」
麗「・・・飛び降り!?」
クラスメートと屋上へ行ってみると、沢田くんが山本くんに話しかけている所だった。
ツナ「死ぬときになって後悔しちゃうような情けない奴なんだ・・・どーせ死ぬんだったら死ぬ気になってやっておけば良かったって。こんな事で死ぬの勿体ないなって・・・。だから、お前の気持ちは分からない。ごめん・・・。」
麗は人をかき分けて前に出る。
麗「こっちに来なさい。」
武「・・・鷹宮さん・・?」
麗「怪我なんて治る。でも、命を落とせば野球どころかこの世界にいられないのよ。わかってる?」
武「・・・。」
麗「貴方のために勇気だして話した沢田くんともお話し出来なくなるのよ。」
武「・・・!」
麗はツカツカと寄り、手を差し出す。
麗「生きなさい。中学生なんだから、まだこれからやり直せる事ばかりよ。」
武「・・・あ、ぁ・・。」
スッと山本が麗の手を取る。
すると突然突風が吹き、山本の身体がぐらりと揺れる。
武「!」
麗「っ!!」
麗は無理やり山本を引っ張り、柵が壊れ、山本は屋上に放り出された。
京子「麗ちゃんっ!!!!」
ハッとして麗の方を山本が見ると、今にも麗は屋上から落ちそうになっていた。
右手で屋上を掴んでいるが、早く引き上げなければ落ちてしまう。
慌てて男性陣が駆けてくるが、麗は左手もかけ、ひょいっと上がって来た。
麗「ふぅ・・・さ、戻ろう。もう飛び降りなんてしないだろうし。・・・二人で話したい事もあるだろうし。ね?」
そう麗が言うと、ゾロゾロと戻って行くクラスメート。