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ラベンダーに誘われて

第17章 父親











「随分と手間をかけさせたな。麗。」




海を眺めていた麗。
白いワンピースに、素足のままだった。
足には小さな切り傷が擦り傷がたくさんついていた。




くるりと声のする方を見る。


麗「・・・お父さん。」

征仁「帰るぞ。相手を待たせている。」





麗「・・・何の、相手?」



征仁「お前の婚約者だ。」



麗「(・・・あぁ・・。)」







征仁「こっちに戻ってきたら転校手続きに・・・あぁ、面倒だ。全く、面倒な事をしてくれたもんだ。」
麗「・・・お父さん、私は、帰らないわ。」
征仁「・・・何を言っている?父親のいう事も聞けないのか?」
麗「貴方を父親だと思ってないもの。」
征仁「・・・何だと?」
麗「だって、貴方は・・・麗を、“私として”見てくれた事なんて一度もなかった。」


征仁「何を言っている?俺はお前を見ているじゃないか。」




麗「見てないよ。お父さんは自分の欲望にしか目を向けてない。」
征仁「そんな事はない。俺は総理になって、国民の為n」
麗「目先の金にしか目が行かない亡者。」
征仁「・・・さっきから、口がなってないぞ。麗。」



麗「私を憐れんで、私を見てくれなかった。病気である私しか、お父さんは見てくれなかった!!!」
征仁「・・・?」
麗「私は!病気だけど、生きてるの!喧嘩だってするし、勉強だってする。夏祭りにだって行きたいし、友達とだって遊びたい!!結婚相手も自分で選びたい!!自分で決めたいのよ!!」
征仁「・・・家出なんかして、自分の金で生きていないお前にそんなワガママが許されるとでも思ってるのか?」
麗「・・・!」
征仁「俺を・・・大人を甘く見るなよ。」




グイッと麗の腕を引っ張る征仁。



麗「!」

征仁「そんな御託はどうでもいい。さっさと帰って着替えてお相手に会わせる。」
麗「だから!帰らないって言ってるじゃない!!」







「麗!!!」




麗「・・・きょう、や・・?」




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