第16章 リング争奪戦
「ボスッ!!!!!」
運動場に駆けて来た影。
ザンザス「・・・ベルか。・・!」
超ツナ「!!鷹宮さん!?」
ベルフェゴールは麗を抱えてやって来た。
その麗は血塗れで、今にも意識が飛びそうになっていた。
ベル「ボス!!早く姫にリングはめなきゃ、姫死んじゃう!!!」
マーモン「他のリングは全て揃えた!!ボス!あとは大空のリングだけなんだ!!」
麗は息絶え絶えで、口に手を抑えているが出血は止まらない。こちらに視線の一つも寄越さない。・・・いや、寄越さないのではなく、寄越せないのだ。
“そっか。勿体ない。”
自分と初めて話した時の彼女は、動揺も何もせずただ、自分を自分として、認めた。“ボンゴレ”というしがらみに関係なく、あの日、彼女は自分を視た。初めての事だった。
そんな彼女は今、死にかけている。
血を吐くなんて相当だ。異常であると認識せざるを得ない。
ザンザス「・・・。」
ザンザスは首元のネックレスを引きちぎるとリングの欠片をツナに投げた。
超ツナ「!」
ザンザス「さっさとしろ。せっかくの女王が就任する前にいなくなる。」
ツナもネックレスを外し、リングを揃える。
そのままリングをマーモンの方へ投げる。
マーモンはすかさず受け止め、麗の腕輪にカチリとはめた。
麗の中にあった倦怠感がなくなり、少し楽になった。
ザンザス「おい。」
わずかに顔をこちらに向ける麗。
そして、微笑んだのだ。
ザンザス「・・・!」
麗「・・・ぁ・・。」
ベル「・・・!ボス!!姫が何か言ってる!!」
ジッ・・・と麗を見るザンザス。
麗「・・・――――――――――・・。」
麗の言いたい事に気付いたザンザスは目を見開く。
“貴方は、一人なんかじゃない。”