第16章 リング争奪戦
一歩一歩、踏みしめるように歩く。
麗「・・・確か、この辺り・・。」
「・・・麗?」
聞き覚えのある声がして、そちらを向くと雲雀が立っていた。
恭弥「何してるんだぃ君。解毒も済んでないくせに。」
麗「恭弥は、やっぱり自力でリング取ったんだね。」
麗はスッとどこからともなくトンファーを取り出した。
恭弥「・・・君の武器、トンファーだったのかぃ?」
麗「ううん。違うよ。」
麗は勢いよくトンファーを校舎にぶつけた。
ドォンッ!!と音がして、壁にはクレーターが出来た。
恭弥「・・・ねぇ、何やってるの?死にたいの?」
麗「リング、落とした。」
恭弥「!」
カクンッと膝から崩れ落ちた麗を慌てて抱える雲雀。
恭弥「君、どうやって解毒するんだぃ?」
麗「全員の、リング・・・?」
恭弥「・・・そう。それなら早く集めないとね。」
カチッと雲のリングを麗の腕輪に嵌める。
恭弥「今何個?」
麗「・・・恭弥のだけ。」
恭弥「・・・ワォ。どいつもこいつも無能みたいだね。」
ヒョイッと麗を抱えると、校舎の中に入っていく雲雀。
麗「きょうや・・・?」
恭弥「歩き回ると毒の回りが早い。」
あぁ、彼はとても優しい。
それ故に、彼は脆い。彼は気高い。彼は美しい。
それが、この世界の条理というものだ。
だからこそ、私は・・・。