第16章 リング争奪戦
柔らかい感覚がして目をあけると、どこかで見たような海岸だった。
麗「・・・ここ・・精神世界・・・?」
きょろきょろと辺りを見回しても、誰もいる気配がない。
麗「・・・骸、いないの?」
そう呟くと、ポゥッと光が舞い降りて来た。
その光は瞬く間に大きくなって、静まった頃には人型になっていた。
「・・・まさか、貴女に呼ばれるとは・・。」
麗「呼ばれる分には力、いらないんじゃない?骸。」
骸「えぇ。・・・けれど、今の貴女には負担でしかないと思いますが。」
麗「・・・そうかも、ねぇ。」
骸「何を焦っているんです。麗。」
ジッ・・・と麗を見つめてそう問う骸。
麗「・・・。」
骸「麗、貴女・・・。」
麗「ねぇ、骸。」
骸の言葉を遮って麗は言葉を発する。
麗「時間は、私達を待ってくれないわ。」
にこりともせずに麗は続ける。
麗「時間は私達に合わせてくれない。止まってくれない。・・・なら、私達は進まなくちゃいけない。」
骸「・・・そう、ですが・・。」
麗「時間切れになってからじゃ・・・遅いんだよ。」
そう言って、ようやく笑った麗は悲しそうだった。
麗「・・・ごめんね、骸。呼んだの私だけど、私そろそろ起きなきゃ。」
骸「・・・貴女は、一人で抱え込みすぎです。」
麗「それは、骸。・・・貴方にも言える事だと思うよ。」
くすりと笑って麗は骸の方を向く。
麗「また会いましょ、骸。」
骸「えぇ。また呼んでください。」