第16章 リング争奪戦
山本武とスクアーロが向かい合ったのが画面越しに見えたくらいで、視界がぼやけてきた。
ベル「・・・?姫??」
麗「・・・ごめん、後・・よろしくね・・。」
ふらりと視界が暗転して、麗は気を失った。
ベル「姫!?」
マーモン「死んでないよ。多分、チェルベッロに何か飲まされたんだ。」
ベル「・・・寝てる、だけ?」
マーモン「そうだと思うよ。」
ザンザス「・・・。」
ベル「・・・?ボス・・?」
無言でザンザスは椅子から立ち上がると、麗を抱き抱えて再び座った。
ベル「・・・!」
目を覚ますと、またも天井が見えた。
むくりと起き上がってみると、そこは先日の部屋とは違うごく一般的な部屋。
寝息が聞こえたのでそちらを見やると、ツナが眠っている。
麗「・・・山本君が、勝ったんだ・・。」
麗はベッドから降りると、ツナに布団を被せて静かに部屋を出た。
服はベルに貰ったもののままだったので、そのままタンタン・・・と階段を降りて玄関に向かう。
「あら、起きちゃった?」
くるりと振り返ると、女性がにこやかに笑っていた。
麗「・・・え、と・・。」
「私、ツナの母親の沢田奈々です。朝早いのねー。」
麗「あ・・・鷹宮麗です。すみません、ベッドお借りして。」
奈々「いいのよー、気にしないで。あ、ご飯食べる?今から作ろうか?」
麗「あ、いえ・・・家に帰ります。ご迷惑おかけしました。」
奈々「そう・・・。いつでもいらっしゃいな。待ってるわ。」
麗「・・・ありがとうございます。」
パンプスを履いて沢田家を出ると、駆け出す。
麗「・・・いい、なぁ・・。」