第16章 リング争奪戦
翌朝、ベルが目を覚ますとベッドには誰もいなかった。
ベル「・・・姫・・?」
自分は守護者戦で勝ったハズ。だから、姫はこっち側で、年齢的にも自分の近くにいるハズなのに、何で姿が見当たらないのだろうか?
むくりと起き上がると、パサッと落ちる何か。
ベル「・・・タオル?」
持ってみると、少しぬるくなっているタオルは湿っていた。
自分が背を向けて寝ていた方に顔を向けると、椅子で眠っている麗を見つけた。
ベル「・・・姫?」
ベルの声で起きたらしい麗は頭を軽く振って意識を覚醒させた。
麗「おはようベル君。調子はどう?」
ベル「怪我以外何ともないけど・・・?っていうか、姫、俺の呼び方変。」
麗「そっか。昨日熱出てたから気にしてたんだ。ところで姫って誰?」
ベル「姫は姫だけど。・・・俺、熱出てたの?」
麗「・・・うん。ケガから来る熱。もう下がってるなら心配ないよ。私の名前は姫じゃなくて鷹みy」
ベル「麗だろ?知ってる。」
スッと渡されたスカーフ。
麗「・・・これ・・。」
ベル「あん時のスカーフ。名前刺繍してあったから。」
麗「じゃあ、何で姫なの?」
ベル「王子が気に入ったから姫。」
麗「その定義はよく分からないけど、ありがと。」
マーモン「起きたのかぃ?早くしないと朝食がなくなるよ。」
ベル「王子、姫の作った料理食べたい。」
麗「・・・朝食だけね。」
ベル「やっりぃ♪」
麗「キッチン借りてくるから待ってて。」
ててて・・・と部屋を出てキッチンに入ると、キョロキョロと辺りを見回す。
麗「・・・はい。問題ないです。・・・分かりました。気を付けますね。」
ふぅと溜め息をついて天井を見上げる。
麗「言えるわけない、よなぁ・・・。」