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キミは何色の夢を見る?

第2章 桜色 さくらいろ 完



side:京楽春水




「今日は天気がいいねぇ。」



こういう日は真面目に仕事するのが馬鹿らしくなる。
普段から仕事はさぼってばかりなんだけどね。
もうすぐ桜も散ってしまうし、桜を見に行くのもいいねぇ。
そうしようか。





「相変わらずここの桜はすごい。綺麗だねぇ。

今日もあの子が呼びに来るのかね。」


ふと思い浮かべて笑みをこぼす。
彼女をからかうのは楽しい。反応が面白くてついね。


「京楽隊長ー。」


「ん?
おや、噂をすればというやつかな。」


遠くにたった今思い浮かべた彼女がいるのを確認し、今日はどうやってからかってやろうかと思案する。


「京楽隊長!
また仕事さぼってお酒ですか?
伊勢副隊長が探してますよ。」

「そーだねー。」

「そうだね、じゃないですよ。」

「春日ちゃんも一緒にどうだい?
桜が見頃でね、綺麗だよー。」

そう酒を勧めれば目の前にやって来た彼女、うちの隊の春日ちゃんは、大げさにため息を吐いてみせる。

今、見惚れていただろう?
桜かい?それとも…

「何言ってるんですか?
仕事戻りましょう。」

なんてくだらないことを考えているうちに、僕の誘いは断られてしまったみたいだ。残念だね。

「………仕事、終わってからなら付き合いますから。」


「ほんとかい?」

珍しい春日ちゃんの返答に驚いて問い返せば、少し頬を染めそっぽを向いていた。

そんな可愛らしい反応に笑う。

「そこまで言われたら仕方ないねぇ。戻ろうか?
早く仕事終わらせて飲みに行こう。
春日ちゃんの気が変わらないうちに。」


重い腰を上げ立ち上がると、春日ちゃんの頭を撫でてやる。
驚いて固まってしまった春日ちゃんを置いて隊舎に向かった。

「あ、待ってくださいよ、隊長!」

置いてかれたことに気付いた春日ちゃんは慌てて追いかけて来る。

止まることなく顔だけそちらに向け、早くおいでと言えば春日ちゃんは笑顔を浮かべた。

可愛いと思ったのは僕だけの秘密だ。



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