第2章 桜色 さくらいろ 完
「京楽隊長。」
桜が満開に咲き誇る木の下で酒を煽る男に声をかける。
この人はまた仕事をさぼって、こんなとこで酒を飲むなんて、何を考えててるのやら。
隊長でしょうに。
ため息をつきなが近付けば、隊長笑みを浮かべひらひらと手を振る。
「春日ちゃーん、どーしたのー?」
「春日ちゃんじゃあないですよ!
仕事さぼってお酒なんて、伊勢副隊長怒りますよー?」
「あはは。そーだねー。」
「仕事戻りましょうよ。」
桜の花びらが舞う下で座ってる隊長に、見惚れてしまったのをごまかすように、大げさにため息を吐いた。
隊長はお酒を飲むのを止め、私を見上げてくる。
「春日ちゃんに言われたら仕方ないねぇ。
さて、戻ろうか。」
よいしょと重い腰を上げ立ち上がる隊長。
それを見て私はまたため息を吐いた。
「ため息は幸せを逃すよ、春日ちゃん。」
「誰のせいですか、まったく。」
そんな会話をしながら隊舎に向かった。
私はそんな隊長との時間が好きだったりする。