第4章 優しいキスをして〈4〉
「まあ……ちょい暗い話をしてしもうて堪忍な」
「そんなことないよ……なんとなくだけど……陽斗くんの事わかったような気もする」
「え?」
「ん?」
私、へんな事言った?
信じられないっていうか、目を見開いて驚いているんだけど。
「いま……聞き間違いしたんか?」
「え?……聞き間違い……?」
「いやっ……陽斗くんって……言ったん?」
「あ……!……ごめん……」
さすがに「青木くん」って言うのは失礼かなって思って
かといって白石くんも違うのかなって思ったから、名前にしたんだけど
「ごめっ……」
「ありがとさんな」
「……え?」
私の謝罪の言葉は青木くんのお礼の言葉でかき消されてしまっていた。
「名前で呼んでくれたんは少しは凜に近づけたちゅう事やんな」
「……何故に名前呼びするの?」
「ええやん」
……なんだろう
青木くんの屈託のない笑顔を見ていたら、胸がチクっと痛いような気がする。
両親の話しを聞く前だったらイライラしていたと思う。でも、今は不思議とイライラはしてこない。
むしろ違う感情が湧き上がってくるんだけど、それを言葉にするのが難しい。