第4章 優しいキスをして〈4〉
「なあ」
「……っ!」
か、顔が近いっ!
なんでそんなに顔を近づけてくるのよ
「これでオレのこと……少しはわかったか?」
「……う……うん」
距離をとろうと後ずさるんだけど距離は縮まらない。
「……次は自分の番やで」
「……私のこと……」
話さないとダメなのかな?
でも、どう話していいのか分からないし、そもそも私を理解してもらいたいとも思っていない。
「そんな顔せんでもええよ」
「……ふわっ……!」
不意に頭を撫でられて、柄にもなく胸がざわついてしまった。
男に触れられても何とも思っていなかった私がどうして?
「どないしたん?」
「え?」
「自分、茹でタコみたいになっとるで」
「っ……!」
まるでいたずらっ子のように瞳を輝かせて、私の顔を覗きこんでくる青木くんにどう反応していいのか分からなくなってしまい……ただ、口を尖らせてしまう。
「可愛いで」
「……可愛いくないから」
「そんな事あらへんって。凜は可愛いで」
「勝手に私の名前を呼ぶのはやめてくれる?」
「ええやん。オレは彼氏さんやろ?」
「勝手に彼氏にならないで!」
「照れなくてもええよ」
「照れてないしっ!」
「よしよし……ホンマ可愛いな」
「気安く頭撫でないでっ!!」
───本当にもう……困る