第3章 優しいキスをして〈3〉
もうそろそろ連絡がきてもいい頃なんやけど。
空港に着いたらメールしてくれるって言ってたのにな。
……なんかあったんかな
心配を紛らわそうとお腹に触れていると
「?!……うわっ……びっくりしたわ」
携帯の着信音にビビってもうたわ。電話の相手は従姉妹の静香ちゃん。うちの通っている病院の看護師さんをやってんねん。
「もしもし?どないしたん?」
「いっちゃん……大丈夫?」
「ん?」
「……ニュース……見てないの?」
「……ニュース??」
「何でもないっ!今から行くから待ってて!!」
「ちょっ……しーちゃん?!どないしたん?……って……切れとるし……」
急になんなん?
今から来るって言ってたけど、会う約束なんてしてなかったはずなんやけど……
なんだろう?
この胸にザワザワする感じは……
「……ニュースって?なん?」
テレビのスイッチをいれてみると
「……なんなん?……これ……嘘やろ?」
『番組を急遽変更してお伝えしています。今、入った情報によりますと羽田沖にて旅客機が墜落』
『今の所、生存者の確認は取れていません』
『こちらが乗客名簿です』
『沖縄発、羽田空港着の……』
……沖縄?
あの人が乗っている飛行機……?
今日、沖縄から帰ってくる予定だった。多分……時間的にはあの飛行機……?
「……嘘やろ……」
震える指で携帯の番号履歴を探す。
大丈夫、きっと電話は繋がってあの人の声が聞こえるはず
『おかけになった番号は電波の届かない場所か、電源が入っていないためかかりません』
「……なんで?……なんでよっ!!……なんで……っ?!」
お腹……痛い───