第1章 おくすりのんだら
「ホエ!まかせるダス!ワスが解決方法を見つけるまでは、注意していてほしいダス。そして、異変があったらすぐに報告してほしいダス。」
「わかりました。」
「ホエホエ。とりあえず、これは念のためのGPS付きカチューシャダス。なんでワスがこんなものを持っているかはご想像におまかせするダス。」
その言葉に、引っかかるものを感じながら、
私はその青いリボンのカチューシャを身につけた。
「それじゃあ、しばらくはここにいてほしいダス。間違ってもいろんなモノをいじったりしないでほしいダスよ。」
「も、もちろんです!」
「(ホエエ、心配ダスなぁ……今はまだ知性が実年齢のまま保たれているようダスが、
いつ退化していくかわからないダス。そうなったらやっかいダスな……。)」
いわれるまま、私はしばらく椅子に座り、様々な本を読み漁る博士を見て足をブラブラさせていたが、次第に飽きてきた。
「(あれぇ?なんでわたしここにいるんだっけ……?)」
その内、様々に光るフラスコやポコポコと音を立てて泡立つ試験管に興味が沸いて、
立ち歩き、見て回っていたが、ついに触ってみたくなり、
博士を盗み見ながら、隙をついて触ってしまった。
瞬間、「何をやっているダスか?!」と声が飛んできた。
ヒッ、と手を引っ込め後ろを振り返ると、
白衣の男の人が厳しい顔をしてこっちを凝視していた。
こわい。恐怖を感じた私は、ごめんなさい、とうつむき加減で声を絞り出した。
「……大人しくしているダスよ。(やはり、仮説通り精神の退化が始まったようダス。急がなくては。)」
そうして、そのおおきなパンツを履いた人は、また本を読み漁っていった。
「(ほっ。なにあのひと。こわいよぅ。)」
しばらくまたじっとしていたが、相変わらず本に熱中しているその男の様子に、
恐る恐る、出口へと足を運ぶ。男は、気づいていないようだ。